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企画展「The NINJA」であぶり出しのワークショップ

加藤 進  社会連携特任教授

 7月31日は午前と午後の二回にわけて、表題のあぶり出しを行いました。確か自分が小さかったころ小学校の授業で体験した記憶があります。用意したのは

1)レモン汁

2)お酒(忍法書に記載ああ利)

3)加藤インク

4)カラーあぶり出しインク

5)各自の準備したインク

です。いろいろなものをもってきました。たまねぎを絞った汁、とうもろこしを絞った汁、米のとぎ汁などです。

なかなか頭の固い私には思いがつきませんでした。あぶり出しの原理は簡単なようでなかなか難しいです。因子として、pH、糖度、SO42-等の存在が重要です。ミョウバンを利用した例をよく見ますが、これはpHはあまり低くないことからSO42-等の存在によると考えられます。レモン汁はクエン酸と糖(グルコースなど)で人工的に作ることも可能です。面白いのはカラーあぶり出しです。これはCoCl2・2H2O(pink)の結晶水が加熱によって脱水されてCoCl2(ブルー)になるためです。加湿すると再びpinkにもどります。化学あぶり出しです。コツはあまり高い温度であぶり出さないことです。焦げてしまうと元にもどりません。
忍法書には乾燥した大豆の絞り汁からも可能と記されております。30ml程度のダイズを100~200ml程度の水中に8時間放置します。

 ミキサーですりつぶしてからろ過し、5倍くらいに薄めるとあぶり出しインクになります。乾燥した大豆なら何時でも手に入るという点が重要です。
大豆の場合は溶液のpHもそれほど低くなく糖度も低いです。しかし、分析するとSO42- の存在が明らかになりました。おそらくはSO42-による寄与が大きいと思われます。大豆の例は東京(海の博物館前下車、日本科学未来館)に展示してあります。夏休みを使って訪問してみてください。

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